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事例紹介

CASE

加工性、工具寿命延長

REACH規則改訂に対応しながら、求める加工精度・工具寿命を発揮する加工油に切り替えた事例

導入前の課題:使用していた油性加工油に含まれている塩素系添加剤がREACH規則 の改訂でSVHC(高懸念物質)に追加

導入後の効果:塩素非含有の加工油への切り替えながらも目標としていた加工精度・工具寿命を達成

お困りごと(導入背景)

精密金属プレスの金型設計・製造から量産・組立までの一貫生産をおこなっている企業様よりご相談いただきました。

こちらでは、丸穴、バーリング、タップ加工ライン(被削材:NSECC-QS1、SPCC、SUS304、SUS430KDなど)で、従来より決まった油性加工油を使用してきましたが、その加工油に含まれている「中鎖塩素化パラフィン(塩素系添加剤)」がREACH規則 の改訂でSVHC(高懸念物質)に追加され、その対応が必要になりました。加工油自体は使用不可ではないので、今後も使用できますが、納入先に提出するグリーン調達基準書の判定で不適合と記載しなければならなくなったため、今後の使用を不安視していました。

塩素化パラフィンとは、アルカンに塩素が結合した化合物の総称です。金属加工油においては、塩素系極圧添加剤として使用されています。炭素鎖の長さによって短鎖、中鎖、長鎖に分類されています。既に短鎖はPOPs条約や化審法に該当しており、製造及び輸入等が原則禁止されています。中鎖についても、REACH 規則 第 25 次 SVHC に追加されるなど環境負荷物質としての規制を受ける傾向にあり、現段階では長鎖または塩素非含有への代替が進められています。

名称 略称 炭素鎖長
短鎖塩素化パラフィン SCCPs C10-13
中鎖塩素化パラフィン MCCPs C14-17
長鎖塩素化パラフィン LCCPs C18以上

 

選定理由

REACH規則改訂への対応として、タップに適した塩素非含有の加工油への切り替えを提案いたしました。選定にあたって重視したのは、使用していた加工油に含まれる塩素系添加剤と同等の油膜強度を付与できる添加剤を使用していることでした。2種類の油剤を選定し、サンプルにて加工精度・工具寿命を検証するためのテストトライアルを実施しました。

導入後の効果

打抜き⇒バーリング⇒タップの一連の工程でテストトライアルを実施したところ、一方の加工油サンプルで目標としていた5000 ショットの加工を実現することができました。

また、下穴径の交差は問題なく、タップの通りも従来と変化なく加工することができました。結果として、満足できる加工精度・工具寿命を発揮し、REACH規則に適合する油剤を見つけることができたため、お客様が安心して今後の生産を行うことができるようになりました。

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