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コラム

クーラント(水溶性切削油)の泡立ちの原因と対策を解説

切削油(クーラント)の役割

工作機械で金属などを切ったり削ったりして求められる寸法に仕上げる際、使用されるのは工具だけではありません。加工点に切削油(クーラント)が供給されることで、切りくずや摩擦熱が除去され、製品がキレイに仕上がり、工具の摩耗も抑えられるのです。

切削油は、ストレートで使用する不水溶性切削油(油性切削油)と、水に希釈して使用する水溶性切削油に分けられています。水溶性切削油は、水に混ぜて使用するので、不水溶性切削油(油性切削油)に比べて、冷却性や洗浄性に優れています。特に近年では、工作機械の高速化・自動化により、工具やワークに対しての冷却性がより高く、引火の危険性も無い水溶性切削油を使用する割合が増えており、特に泡トラブルが発生しやすいのも水溶性切削油です。

切削油

なぜ水溶性切削油は泡立ちやすいのか?

水溶性切削油は、油と水の本来混ざりあわないもの同士をくっつけるために、一般的に界面活性剤という成分を使用します。いわゆる石けんです。界面活性剤は、皆さんが普段洗濯や入浴の際に使用するものと同様に泡立ちやすく、その分汚れを抱き込んで対象物をキレイに洗浄する性能に優れています。

その界面活性剤を含んだ水溶性切削油は工作機械で使用される際、クーラントタンクに溜めてあり、そこからポンプアップされて加工点に向かって勢いよく供給されます。そこで材料や工具にも勢いよく当たることで泡が発生します。実際に使用されている動画をご覧ください。

クーラントが泡立つと、どうなる?

クーラントは加工点に向かって勢いよく供給された後、再度クーラントタンクに戻り、繰り返し使用されますが、発生した泡が消えないままクーラントタンクに戻ってしまうと、液がタンクから溢れてしまいます。液が溢れてしまうと、機械を停止して床を清掃し、クーラントを再度補充しなければならなくなります。生産を止めてそのような作業をしていることは、大きな生産ロスとなってしまいます。さらに、泡(空気)を抱き込み、加工性の低下も生じてしまうことからも、生産現場で必ず防ぎたいトラブルなのです。

クーラントタンク内の泡の様子

泡立ちによる様々な影響

作業環境の悪化

タンクからのオーバーフロー、泡で加工点が見えづらくなることによって、以下のような問題が発生します。

  • 機械周りが汚れる、滑りやすくなる
    機械周りの清掃などにかかる作業時間の増加
    溢れるのではないかという精神的不安が生じる。

生産効率の悪化

他にも泡が出ることで以下のような問題が発生します。

  • 冷却不足による加工性の低下
  • 加工後の製品不良が生じる
  • 予期しない機械稼働の停止
  • 加工点の確認がしにくい

生産コストの増加

切削油の持ち出し量が増える、消泡添加剤のコストがかかることにより、以下のような問題が発生します。

  • 切削油の使用コスト増加
  • トラブル対応に係る作業費の増加

クーラント(水溶性切削油)の泡立ちの原因と対策

こちらでは、クーラント(水溶性切削油)の泡立ちについて、挙げられる原因と対策をご提示いたします。

原因 対策
切削油の濃度が高い 濃度を適正値まで調整することを推奨します
泡立ちやすい切削油を使用している 切削油の油種を見直してみませんか?
切削油の劣化による消泡性能の消失 切削油の全交換を推奨します
タンクの切削油の水量が不足していてエアーが入り込む 適正な切削油の水量に保つ、毎日補給することを推奨します
簡易フィルターの目詰まり こまめにフィルターを清掃することを推奨します
高圧クーラント塗布装置の使用により泡が立ちやすい ポンプの吐出圧が必要以上に高く設定されていませんか?
機械の構造で切削油の落下落差が高い 切削油のかけ方やノズルの向きなどを変えてみてはいかがでしょうか

泡トラブル改善事例

クーラントが急に泡立ってしまった際は、以下の項目を確認・対応することで対処できる場合があります。

  • 濃度を確認する(高い場合は、濃度の薄い切削油を補給する)
  • 水量を調整する
  • フィルターを清掃する

弊社でクーラントの泡立ちを防止した事例はこちらです。
興味のある方はぜひご覧ください。





もし、これらの対応でも泡立ちが解消しない場合は、長岡石油までご相談ください。
条件にあった最適な切削油のご提案ができます。

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